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染色の原理② 草木染めの手順(写真付き)や留意点等、更新。(今回は玉ねぎ染め)

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昨年9月にupした染色の原理( http://tsuchitone.strikingly.com/blog/153a26ad487 )。あれから、半年以上経過。その間にも何度か布の染色をして、このところ以前と比べてしっかりと色を定着できるようになったので、その報告です。染色、たのしいなぁ。

流れとしては、「染まる原理の復習」→「染めもの手順」→「前回との変更点とその理由」です。たぶん長くなるので、読みたいところをつまんで読んでもらえたら、と思います。

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〇 染まる原理の復習

詳しくは上記の染色の原理のリンクを見て確認してもらうとして、ここでは軽く。「なぜ染まるか」それは、「色素と布の繊維を構成している分子が結合する」からです。

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草木の染料に関していうと、この結合はゆるーいものでして。これをよりしっかりとくっつける役目をしてくれるのが、よく聞く「ミョウバン」です。ミョウバンのなかのアルミニウム(Al)という金属分子が色素と繊維分子の間をつないでくれます。この役目をしてくれるものを「媒染剤」と呼ぶ。(そのものが直接的に発色するわけではないが、染まることを媒介するため)。それによって、色の固着がupしたり、さらには発色もupする。(ちなみに金属分子はアルミニウムだけではなく、銅(Cu)や鉄(Fe)など様々です。だから、媒染剤は色々変えられるし、変えると色も変わるかも)

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布の繊維分子と色素のあいだをミョウバン由来のアルミニウムがつないでくれるー!

色素がよりしっかりとくっつくー!

まとめ。染めるのには、染色液と媒染剤液を使うと◎◎

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〇染める手順

最近よくやっている染める手順を紹介します。

(注意)使う植物の分量や液体の濃度や漬ける時間の長さ、繰り返し回数などは記載がないです。手に入った量でさらっとやってみる、くらいでよいかと思います。液体の濃度や時間の長さで布に染まる濃さや色合いが変わるのですが、(今日はこんな色か~)くらいに楽しんで頂けたらと思います。

これから伝える手順は「布にしっかりと色素を入れていく(染める)」がテーマです。そのための手順や気を付けることなど。

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●下準備

布(今回は編み目が粗めの綿100%の布。絹もよいと思います!)

染色液、媒染剤液つくる!

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こんな布使いました。編み目が目で見てわかるくらい粗めのもの。

●染色手順

① 布の洗浄 → ② 染色液に漬ける → ③ 布の水洗い → ⑤ ミョウバン液に漬ける → ⑥ 布の水洗い

であり、そのあとは、②~⑥を好きな回数繰り返す。

下記より詳しく。

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●下準備(詳細)

〈染色液づくり〉

今回は赤玉ねぎの皮。皮を水洗いして土などを落とす(実は土も媒染剤になるので、落とした方が◎)。鍋に皮と水を入れて、ぐつぐつ煮る。煮汁に色が移ったらおしまい。そのまま置いて冷ます。冷めたらボウルに移し、皮を除き、煮汁だけにする。これが染色液。

(写真、ふつうの玉ねぎの皮も入っていますが、それ以降の染めの写真は、赤玉ねぎだけで染めたものの写真です。単一のちゃんとした時間経過で出来ず、、orz)

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〈ミョウバン液づくり〉

こちらも、鍋に水張って焼きミョウバンを入れる。意外と溶けにくい。沸騰させて、時々撹拌したりして、よく溶かす。溶けたサインは、液体が濁っていないこと。溶けたら冷ます。ボウルに移す。

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これで下準備おしまい!

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●染色手順(詳細)

① 布の洗浄

布の表面にコーティング剤が塗布してあったり、油脂やほこりなどの汚れがついていると、布の繊維分子を覆うような状態になるので、はじめにそれを除去する。石鹸や洗剤を使ってごしごしっと。ここでは手洗い液状せっけんを使いました。

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② 染色液に漬ける

洗った布を煮出して冷ました染色液に漬ける。時間はあまり気にしてなく、染み込んだなーと思ったら終わりにした。15分くらい?。時間がないときはそのまま漬けてたり。1回目、うすーい赤色。(染色液でぐつぐつ煮る方法もある。けど布を入れた染色液を煮ていくうちに染色液の発色が悪くなるようなものもあったり。で、冷めたままやってまし。それでも十分染まるよよ!)

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③ 布を洗う。

染色液漬けたあと、すぐにミョウバン液に漬けずにいちど水で洗います。この理由はこの後で詳しく。絞った時に色が出なくなるまで。洗ったら、よく絞る。(ここ、写真撮り忘れで、何度か染色繰り返した後の布です。色ちがくてすみません、、)

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④ ミョウバン液に漬ける

水洗いして良く絞った布をミョウバン液に漬けます。色がぐぐっと鮮やかになっていくのが目で見てわかるのがたのしい。1回目、淡い赤と黄色が入り混じる。

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⑤ 布を洗う。

布表面に付いたミョウバン液を水で落とします。こちらの理由もまた後で。

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⑥ ②~⑤を好みの色になるまで繰り返す。

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2~3回目くらいのミョウバン液。布が黄色くなってきました!

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4回目かな、染色液。急に黄色からみどりに、!赤玉ねぎ染色たのしい。。。

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でけた!

終わりは好みの色でよいと思うのですが、もうそれ以上濃くならないよーという飽和点は、色素液の色の濃さかなぁと思います。これを作った時の色素液はこんな風に色褪せていきました。

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紫玉ねぎの色素液の染色前と染色後。色が大分薄くなりました。それだけ布に付着できたともいえる。

画像からは分かりにくいのですが、染色後は少し濁っています。これも終わりのサインだなと。

理由はまたあとで。

なにか作業している合間に、②~⑤を繰り返している感じです。それぞれの時間の長さはあまり気にしていないです。さて、次は、何度かやってみたときに気付きや前回との変更点等々です。困った時など参考にどうぞ!

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〇気付き、変更点など

① 使用する布のこと

繊維がゆるく編まれているもの、おすすめです。よく色が入ります。(布の種類でも色づき方は異なるのですが、その話はここでは省略します(綿、絹、化学繊維など、、))。なぜ、粗めの方が入るか。それは、「ゆるく編まれているほうが、色素が布に侵入しやすい=布の分子と色素分子が結合しやすい=色が付きやすい」ということ。そうだろうなぁ~と思いながらも、下2つの写真の1枚目の細かく編まれたものをしばらく使っていたのですが、2枚目にしたところ、全然色の入りと鮮やかさが違う、、!ので楽しいです。おためしくださいませ~~。

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綿100%の編み目が細かいもの

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綿100%の編み目が粗めのもの(今回の他の写真すべてこの布使用)

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布の繊維が粗めだと色素が布のなかに侵入しやすい → 染まりやすい

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② 布の洗浄

まえは洗ってなかったんです。布をそのまま漬けて。でも、洗った方が良い感じでした。布の色素の吸い込みが早いかつ色が出やすい気がします。たとえ、表面加工していない布でも、布は保管の間に空気中に飛んだ油や汚れがくっつきやすいため何かしら表面にいる可能性あり。はじめにそれを除いてあげることって大切なんだなーと感じました。

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③ 染色液と媒染剤液(ここではミョウバン液)を分ける

以前の染色の原理( http://tsuchitone.strikingly.com/blog/153a26ad487 )では、下の画像のように、染色液にミョウバン液を加えようー!としてたのです。実際に自分もそうしてやっていた。

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前回upした画像。染色液に布を。そのあとにミョウバン液。

(木炭→木灰の間違い、、)

これでも確かに色が入っていく、けど、なかなか濃くできなかった。なんでかなーと思ってたのですが、透き通った染色液がすぐに濁っていくのを見て気付きました。

こうしてしまうと、「布の繊維に結合せずに、色素と媒染剤の間だけで結合する分子が多く出てきてしまう」だなぁ、、!と。濁った液は、「懸濁液(けんだくえき)」と呼ばれるのですが、これって、液体の中に小さな固体粒子がたくさん分散していることで濁って見える現象。言い換えると、染色液のなかで色素と媒染剤がどんどん結合して塊になり、小さな粒子をたくさん作っていること。それは、そこだけで結合が完結していて、布にくっつく色素量を減らしていること。。。がーん。

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染色液に布、そこにミョウバン液を加えた場合。

染色液中の色素分子とミョウバンのアルミニウムイオンが結合し、布の繊維と結合しないことあり。

それから、色素液と媒染剤液(ここではミョウバン液)を分けています。分けると、色素液(色を付ける)→媒染剤液(色を固着する)を繰り返してだんだんと濃くしていけることも◎

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④ 色素液と媒染剤液それぞれに漬ける前に水で布を洗う

これも、ひとつ上の項目と同じ理由です。

「色素液 → 水洗い → 媒染剤液」、の流れで説明すると、、

色素液に漬けておいた布。取り出して絞ると、その布には、「ゆるく結合できた色素」と「結合できてないけれど表面に付着している色素」がおるのです。この、「結合できていないけれど表面に付着している色素」が付いたまま、媒染剤液に布を入れると、ひとつ上の項目と同じで、「布に結合しないで、色素と媒染剤の分子どうしが結合する」が多くなる。その証拠として、水あらいせずに繰り返した場合、色素液の濁りがとても早い。。→ 布に結合する色素が減っている。色が濃く入らない。です。これもはじめは、水で洗う理由がよく分からなくて(せっかく布に着けた色素、落ちてしまいそう、、!と感じました)、洗わずにやっていたのです。でもなんか思うように色が入らない。洗ってみたらとてもよかったー。

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布に色素を強く付けたくて使う媒染剤。でも、洗わないと、布表面に付着した色素(結合してない)と媒染剤だけの間で結合することも。途中で洗って付着した色素を落とすこと、たいせつ。

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「色素液 → 水洗い → 媒染剤液」で説明しましたが、「媒染剤液 → 水洗い → 色素液」でも同じことが言えます。だからどっちのタイミングでも水洗いをして、表面に付いた色素液(もしくは媒染剤液)を落とすこと。

ただ、よく水洗いしても、取りきれない色素や媒染剤もあります。そのため、回数を重ねるごとに色素液はだんだんと濁っていきます。先に述べたように、色素がだんだん減って色素液が薄くなり、濁りがつよくなってきたら、(あーもう染まらないなー終わりだなー)でいいと思います。

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色素液、媒染剤液のあいだの布の水洗い、大事。

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⑤ 染色液や媒染剤液の濃度、どう影響する?

やはり、ともに濃い方が色がしっかりとまた濃く布に付きました。染色液は想像できたのですが、媒染剤液の濃度も高い方がしっかりと色づきました。まだ何度も試したわけじゃないので、確実な答えではないのですが、そんな傾向が出てます。下の写真は、紫玉ねぎ染めをしたもの。

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紫玉ねぎ染め。右から1, 2, 3, 4とする。

1を基準として比較すると、2は色素が少なめ、3は媒染剤液が少なめ、4はもともとの布。

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媒染剤液を濃くすると布に濃く色がつく、というのは最近のちょっと新しい発見。うれしい、。

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「色素量が多いと布に濃く染まる」で、もうひとつ別例を。どうやら、赤玉ねぎよりもずっと色素量が多いふつうの玉ねぎ。上記まで、赤玉ねぎのみでの染色ですが、赤玉ねぎにふつうの玉ねぎを半々くらいで混ぜて染色もしました。普通玉ねぎの色素の濃さと言ったら、、!手が黄色くなりました。赤玉ねぎよりもすぐに発色し、そしてはっきりくっきり。

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(赤玉ねぎとふつう玉ねぎ)染色液漬け

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(赤玉ねぎとふつう玉ねぎ)ミョウバン液漬け

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手に黄色が付くほどの色素量。濃いい、。

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強い黄色の出来上がり。普通玉ねぎのみよりも少し渋めになるのは赤玉ねぎの効果が少しあるのかと。

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(赤玉ねぎとふつう玉ねぎ)染め後と染め前

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右から、3枚 赤玉ねぎ染め、1枚 赤玉ねぎと普通玉ねぎ染め、1枚 染め前の布

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そんな感じかしら、、!ほかにも気付いたけれど忘れていたことがあったら、新たにここに追記しようと思います。新しい発見があった時もー!こんどは何を使って染色しようかな~